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血小板は、骨髄の巨核球を起源とする血液中の多機能な無核細胞です。主な機能は、血栓の形成を促す止血反応によって出血を止めることです。具体的には、血小板の活性は様々な刺激によって制御され、血小板表面の異なる受容体に結合することで一連の下流事象が引き起こされ、その構造・機能変化が止血を開始します。この過程は、膨大な数の表面受容体とアゴニストが関与する非常に複雑なものであります。血小板の活性化と並行して、血球や内皮細胞が関与する凝固カスケードが組織因子によって引き起こされ、トロンビンを介してフィブリノーゲンからフィブリンが形成されることになります。血小板は、多様なメカニズムで血小板自身や他の種類の細胞(白血球、血管内皮細胞など)と直接的または間接的に相互作用することにより、血栓症、動脈硬化、炎症、冠動脈疾患、糖尿病、腫瘍増殖、がん転移、COVID-19などの病的過程にも関与しています。また、血小板は、血栓に包まれた循環腫瘍細胞(CTC)をせん断力やナチュラルキラー細胞による細胞溶解から保護することが知られています。

血小板の複雑な生理的・病理的機能をより深く理解し、医療現場におけるより良い治療戦略を開発するためには、画像ベースの血小板解析あるいは血小板形態計測の技術的進歩が不可欠であります。最近、合田研究室は東京大学医学部附属病院検査部の臨床医と共同で、ハイスループット光学イメージングとディープラーニングに基づく革新的なツールを開発し、血小板形態計測を高次のレベルへと押し上げ、従来の血小板形態計測で達成できなかった新しい機能群を提供し、未踏の血小板解析領域に光を当てることに成功しました。我々が「インテリジェント血小板形態学」と呼ぶこの新しい分野は、新しいクラスの診断学、薬理学、治療学への道を開くと期待されています。


参考文献


インテリジェント血小板形態学

  • 現場リーダー: 周 雨奇 (Iris)
  • 研究支援: JSPS研究拠点形成事業、AMED新興・再興感染症研究基盤創生事業、化血研助成金
  • 共同研究: 東京大学医学部附属病院検査部